2014年12月19日金曜日

学費を人質に若者の選択肢を奪う、地方創生の地元就職支援に感じる3つの違和感

今日19日の日経新聞の朝刊トップニュースに結構衝撃を受けた。

地元就職条件に奨学金 地方創生へ大学生向け基金 政府、自治体や産業界と15年度から

もう少し簡潔な記事だけど、時事通信もこのこ政策について報じている。



内容を簡単にまとめると以下のとおり。

・地方に就職するなら、日本学生支援機構からの奨学金の返済額を減免する。
・この施策は国・自治体・県内企業が連携してやる。
・なぜなら、”若者が地元で就職せず、東京に人材が集中して地方の活力をそいでいる。”から。

と、こんな感じ。

<違和感その1:経済的に不利な家庭の学生の選択肢を狭めるのか?>
奨学金を必要としている、家庭・学生の弱みに付け込んで、無理矢理地方に残らせることはどうなのか。
政治として行うことは、家庭の環境によって、子どもの将来・進路が狭まらないようにサポートすることではないのか。貧困の連鎖をどう断ち切るかが今の日本には必要ではないのか。


<違和感その2:若者は地元で就職したくないのか?>
東京を離れたがっていたり、地元で働きたいという声は自分の周りでよく聞く声である。
しかし、それでも東京にいるのは、結局のところ仕事が東京にしかない。あるいは地元に仕事があっても、給料などの条件が悪いといったことが要因だ。
とかと思いながら記事を読んでいたら、の記事のリンクにどんぴしゃりのものが。

”マイナビの2013年調査によると、関西の就活生のうち地元希望者は75.8%。全国平均(69.8%)を上回り東海地方に次ぐ。「メガバンクの説明会より地方銀行に学生が集まる」(関西大キャリアセンター)。別の大学の担当者も「何が何でも東京という憧れは薄まった」と、変化を語る。”

残りたいと思う学生が地元に残れる環境の整備が必要なのであって、経済面で厳しい学生を無理矢理縛り付けても誰も得をしないだろう。


<違和感その3 国が一律でやる政策なのか>
各道府県、自治体が独自の取り組みとして若者を残すために行うというのなら、まだ理解はできる。各地域がそれぞれの特徴や状況に応じて、色々と工夫をすればいいと思う。人口減少の中での各地域の競い合いとして機能するかもしれない。
しかし、全地域一律でやることに意義は感じない。


<終わりに>
まだ、この政策が今後どうなるかはわからないが、政治がやることは家庭・地域の事情により経済的に不利な状況にある子ども若者が、その不利な状況から脱することを支援すること。やる気・能力がある子ども若者のさらなる活躍の場・機会を増やすものであるべきだ。
不利な状況にある子ども若者を雇用などの環境が整備されていない地方に縛り付け、貧困の連鎖を助長するものではない。