2017年1月7日土曜日

”なり手不足解消が目的”の被選挙権年齢引き下げは、若者に失礼である

ついに自民も検討開始、動き出した被選挙権年齢の引き下げ


選挙権年齢が18歳以上へと引き下がり、次は被選挙権年齢の引き下げ。つまりは立候補できる年齢の基準を下げることが論点となってきている。

年明け早々にこんな記事が上がっていた。

自民、地方議員の被選挙権年齢引き下げ検討
なり手不足の解消狙い

記事によると
地方議員選挙を巡り、現行で「25歳以上」となっている被選挙権の年齢を引き下げる方向で本格検討に入った。
もともと昨年の参議院選挙の選挙公約内にも被選挙権年齢の引き下げの検討は明記されており、驚きはない。

そして記事内にもあるが、すでに他の党も年齢引き下げに関する法案は出しており、今後議論が加速していきそうだ。

日本維新の会が国政選挙を含め、全て18歳以上とする公選法と地方自治法の改正案を提出。民進、自由、社民3党は、各種選挙で一律5歳引き下げる改正案を共同提出した。

議員のなり手不足という問題

前述の記事によると、自民党としては
地方議員のなり手不足を解消する狙い。
だそうだ。背景にあるのが、地方議員のなり手不足。
地方選挙では、少子高齢化や人口減少に伴う候補者不足で無投票当選が目立っている。総務省によると、11年統一地方選では全体に占める割合が都道府県議で17・6%、町村議は20・2%に及んだ。 
との状況。
無投票当選ということは、立候補すれば全員当選するということ。
そして、選挙によっては定数以下の立候補者しか集まらず、「欠員」が出ている自治体もある。
また、欠員が出ないために、致し方なく引退をせずに選挙に出続ける方もいるようだ。
さらに、多くの欠員が出れば、再選挙ということにもなる。

総務省のHPにはこのような記述がある

再選挙(選挙のやり直しや当選人の不足を補う) 選挙が行われても、必要な数だけの当選人が決まらなかったり、投票日の後で当選人の死亡、当選の無効があったなどの場合で、しかも繰上当選などによっても当選人がなお不足する場合に行われる選挙です。一人でも不足する時に行われるものと、不足が一定数に達した時に行われるものがあります。
自分自身も定数が設定され、選挙があるにもかかわらず、その選挙の際に政策論争の機会がなく当選が決まっていく状況はまずいと思う。
もっとも、選挙になったからといえ、政策論争がなされるのかは悩ましい状況にあるのだが、少なくとも大半の候補者が自身の公約を何らかの形で掲げ、選挙というフィルターを潜り抜けた人が政治家となるということに意義は一定程度ある。

でも、なり手不足解消が狙いの被選挙権年齢引き下げは反対

しかしながら、”なり手不足解消”を目的とした被選挙権年齢引き下げには反対である。
現状を改めて考えてみよう


これはあまりにも安易だし、若者の扱いがひどい。
誰もなり手がない状況のなか、若者へなり手となることを期待するのいかがなものか。

やりたがらない理由がそこにはあるわけで、その理由を解消することなく、若者へ無責任な期待を勝手に託すのはやめるべきである。
そもそも定数が実情に合っていないかもしれない。となると定数を変更することを考えてもいいだろう。必ずしも現状の人数が必要とは限らない。
また、夜間議会などのへと移行させることで兼業しながら政治家をできるような制度を模索してもいいかもしれない。
思い切って議員の給料を増やすことによって、なり手が増えるかもしれない。
そもそもロクな論争の機会もなく地域の顔として当選して、議会でロクな質問もせずに、でもなぜか会派や政党で力を持っている状況が問題なのかもしれない。

要は現状の、負の点を変えることなく、なんとなくやる気にあふれる若者が入ってこないかな~
という狙いでの被選挙権年齢引き下げなら勘弁してもらいたいということである。

最後に書いておくけど、自分自身は被選挙権年齢引き下げには賛成。
多様な立場の人が立候補できるようにしたほうがいい。
高校生だって大学生だって立候補すればいい。
なので、立場としては選挙権年齢・被選挙権ともに義務教育卒業したら付与してよいと思っている。